お正月の食卓を彩るおせち料理は、年賀状や鏡餅などと同じように新年を祝う伝統的な慣習です。最近では子どもも食べやすい洋風・中華風のおせちや、1〜2人世帯でも食べやすい量のおせちも増えていて、手軽に試しやすくなっています。
今回は、おせちの歴史や意味、料理の種類について解説します。さらに、海外の新年を祝う食文化や、おせちを作るスケジュール、購入する場合の選び方も紹介します。伝統的なおせちの慣習について理解を深めたうえで、おせち選びを楽しんでみてはいかがでしょうか。
おせちとは、現在では誰でも知っているお正月に作られる料理を指します。ここではまず、おせちの歴史や日持ちする料理が選ばれる理由、海外のおせちに似た文化について紹介します。
おせちのルーツは、宮中の行事「お節供」だとされる説が有力です。奈良時代ごろから「節会」という節目の日に邪気を払い不老長寿を願う儀式が行われていました。その際に振る舞われる料理が「お節供」と呼ばれるようになり、平安時代にかけて宮中の定番行事となっていったようです(※諸説あります)。
江戸時代の中期以降になると、もともとは宮中行事だったおせちが、部分的に経済的に庶民へ浸透していったと言われています。江戸末期ごろには、現代のように重箱に詰める形になったようです。第二次大戦後になると、百貨店で「おせち」として販売されたことをきっかけに、おせちの名も広がっていったそうです。
おせちの名が広まったあとも、おせちを食べるには自宅で手作りするか、デパート・有名店で購入するかしか選択肢がありませんでした。中身も伝統的な料理が中心だったようです。
しかし、近年はスーパーやインターネットなどで、手軽におせちを購入できるようになりました。重箱に入ったセットだけでなく、単品パックであっても、品揃えも豊富になっています。さらに、中華風や和洋折衷など、バラエティに富んだ料理がおせちに取り入れられるようになったのも最近のことです。
このような背景から、最近では多様な選択肢の中から、自分や家族の好みにあわせてこだわって中身を選ぶ傾向にあります。バラエティに富んだおせちだけでなく、伝統的なおせちも根強い人気があるようです。
おせちに日持ちする料理が選ばれる理由には、日本神話にも出てくる神様が関係しています。日本では新年になるとご先祖様の霊が「年神様」となって、幸せをもたらすために山から降りてくると信仰されてきました。年神様を迎えるにあたって家の中の煤や、炊事の火は穢れにあたると信じられています。新年を迎える前に煤払いをする風習が「年末の大掃除」として残っているように、お正月に火を使わなくてもごはんが食べられるよう、おせちには日持ちする料理が選ばれたようです。また、「年始でお店が休みになるから、食材を長持ちさせたい」「お正月は料理をせずにゆっくり過ごしたい」などの合理的な理由もあるため、現在も風習として根付いています(※諸説あります)。
日本以外でも、おせちのように新年や年越しを祝うための食文化が根付いている国もあります。
春節(旧正月)を祝して餃子や餅などを食べる風習があります。大晦日には家族全員で餃子を包む伝統もあるようです。
お正月の定番料理として、お雑煮のようにお餅の入った汁物「トックク」を食べます。
大晦日にごちそうを食べる伝統があり、甘い白玉スープ(紅白湯圓)、茹でほうれん草(長年菜)、おかゆ(糯米甜粥)の3種類が代表的です。
アーモンドのパイ「ガレット・デ・ロワ」を切り分けて、陶器の人形(フェーヴ)が入ったピースが当たった人は幸せな年になると言われています。
その年の金運を願って、コインのような見た目の大きな黒豆を煮込んだ料理「ブラック・アイド・ピー」を食べます。
12粒のブドウを用意して、年越しの鐘の音にあわせて1粒ずつ食べる風習があります。
おせち料理は重箱に詰めて振る舞います。重箱は5段もしくは3段のものが使われることが多く、料理の配置は段数によって変わってきます。
・一の重:祝い肴、口取り
・二の重:焼き物
・三の重・与の重:煮物、酢の物
※5段目は「福を詰める」場所として空箱にします。
・一の重:祝い肴、口取り
・二の重:焼き物、箸休めになる酢の物
・三の重・与の重:煮物
おせち料理は「祝い肴」「口取り」「焼き物」「酢の物」「煮物」の5種類から構成されていて、それぞれに定番となっている料理があります。ここでは、おせち料理の種類と意味、具体的な料理を紹介します。
祝い肴は、子孫繁栄、不老長寿、豊作を意味する料理です。関東と関西では選ばれる料理が変わるものの、どちらも3品であることから、「祝い肴三種」や「三つ肴(みつざかな)」とも呼ばれます。
・数の子
・黒豆
・関東:田作り・ごまめ(カタクチイワシのこと)/関西:たたきごぼう
酒の肴のことで、会席料理の最初に出てくる前菜も口取りと呼びます。祝い肴も口取りの一部に含まれますが、分けて呼ぶ場合に指している料理には以下のようなものがあります。
・かまぼこ
・栗きんとん
・昆布巻
・伊達巻
日本食の焼き物とは、旬の魚を炭火で焼いたものを指すのが一般的です。おせちに取り入れられる焼き物は、以下のようにおめでたい意味を持つ魚が代表的です。
・鯛
・ブリ
・エビ
野菜や魚肉などを酢に浸して作った酢の物も、おせち料理の定番です。紅白に染めた料理や、出世魚など、縁起を担いだ料理が取り入れられています。
・なます
・かぶ
・コハダの粟漬け
おせちの煮物には、山の幸である根菜がたっぷり使われています。筑前煮(鶏肉入り)や煮しめ(鶏肉なし)だけでなく、野菜単品を飾り切りにして入れることもあります。代表的な食材は以下の通りです。
・れんこん
・にんじん
・里芋、八つ頭
・たけのこ
・ごぼう
・くわい
・ゆり根
・こんにゃく
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おせちは品数が非常に多いため、自宅で作る場合は3~4日ほどかけて計画的に料理していきます。
ここでは、かまぼこや伊達巻などを購入し、おせちを作るスケジュールを紹介します。
日付 | 段取り |
12月28日 | 野菜・かまぼこなどの買い出し 黒豆・干し椎茸の戻し |
12月29日 | 魚介・肉などの買い出し 数の子の塩抜き 煮物用野菜の飾り切り |
12月30日 | 煮物・黒豆・田作り・たたきごぼう・酢物などの味をしっかり染み渡らせたい料理を作る |
12月31日 | 焼き物づくり |
1月1日 | 盛り付けして振る舞う |
おせちを注文する際に何段重が良いのか、サイズはどうなのか等わからないことも多くありますよね。そこで、選び方のコツを紹介いたしましょう。まず、サイズの選び方について。目安は、8寸8.5寸の三段重と、6.5寸の四段重~五段重が殆ど同じ容量です。選ぶ際は金額や段数以外にも大きさにも注目が必要です。そして、価格です。あまりにも安いものだと、安心と安全の面では少し不安があるので、多少値段が張っても国産のものを選ぶことをおすすめします。次に冷凍か、冷蔵かです。これはどちらにもメリットとデメリットがあります。長持ちするのは冷凍ですし、受け取ってすぐに食べられるのは冷蔵です。どちらもメリット・デメリットがあるので、自身で比較をし、何が譲れないかで決まると思います。最後におせちは、早めに予約するとキャンペーン等で安くなる事があるので、早めの購入をお勧めします。
近所の方や親戚からおせちを頂いた際、何かお返しをと思われる方が多くいます。ご厚意の場合もあるので、必ずお返ししなくてはいけないということはありません。しかし、頂いた手前、何にも出来ないのは良心が痛む方も多いのではないでしょうか。そこで、おすすめのおせちを頂いたお返しを紹介いたします。おせちと言えばお正月、お正月と言えば、家族が集まる方が多くおられると思います。そこで、お勧めのお返し品はお酒が人気です。飲まれない方もいる場合はジュースも用意していく心づかいがあれば素敵ですね。お正月の集まりは宴会のようになる所もあり、少し良いお酒をおせちと楽しむ家庭も多いようです。その宴に合うお返しをもっていけばきっと皆が喜ぶでしょう。おせちは自分で作る以外にもスーパーやコンビニでも売られていますので、少人数の場合や、少し種類を足して食べたいときなどには、買ったものを一緒に並べて食べるのもお正月らしい豪華さが演出できて良いかもしれません。
新年を祝う食文化は世界各国にありますが、おせち料理のようにたくさんの品を用意する慣習は珍しいようです。かまぼこや黒豆などの代表的な料理はスーパーやコンビニでも手軽に購入できるため、手作りの煮物とあわせて楽しむ方も多いでしょう。しかし、1年の多幸を願いながらゆっくりと味わうには、インターネットや百貨店、ホテルなどで予約できるおせちセットもおすすめです。「郵便局のネットショップ」では、1万円以下から3万円以上まで幅広い価格のおせちを用意しています。割烹料亭がこだわって作った伝統的なおせちから、老若男女が食べやすい和洋折衷のおせちまで幅広く取り扱っていますので、ご自身や家族の好みにあわせて選んでみてください。
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