海の幸や山の幸など、様々な食材が使われているおせち料理。重箱に入っている食材の中には、おせち以外ではあまり見かけないものもあるでしょう。その代表格と言えるものが、「チョロギ」ではないでしょうか。しかし、地域によっては入れない場所もあるため、「聞いたことはあるけど見たことはない」、あるいは「そもそもチョロギ自体を知らない」という方も多いかもしれません。そこで今回は、チョロギについての基本的な概要やおせち料理の品として選ばれる理由、作り方や食べ方などについて解説していきます。
お正月のおせち料理の中で、ひと際個性的な見た目をしている食材であるチョロギ。そんなチョロギは、具体的にどのような食べ物なのでしょうか。まずは、チョロギの基本的な概要について説明します。
チョロギは中国が原産とされているシソ科の植物で、日本には江戸時代に伝わったとされています(※所説あります)。食用として利用するのは根っこにできる球根のように見える塊茎部分で、塊茎は長さ1〜3cm程度の巻貝のような形状が特徴的。つまり、私たちはチョロギの茎の部分を食べているのです。おせち料理としてのチョロギは酢漬けのため赤い色をしていますが、実際は白く、土から掘り出した直後は表面が真っ白い色をしています。
調理や加工をしない生の状態のチョロギは、エグみを感じることはありますが、苦さや辛さなどはそれほどありません。また、生でかじるとカリカリとした食感で、熱を通すとさつまいもやゆり根、ニンニクのような食感に変化します。
日本国内においてチョロギが栽培されているのは、北海道や東北、広島、大分などの地域です。3月〜4月に種をまき、5月頃に芽が出て、6月〜7月頃に花が咲きます。そして、11月頃に収穫期を迎える食材です。旬の時期には地域差がありますが、11月〜12月頃とされています。チョロギは手作業で収穫を行うなど手間がかかるため大量生産には向いておらず、生産者は減少しているようです。そのため流通量は少なく、希少性が高い食材とも言えます。
以前は主に東北地方で栽培されていた食材ということで、おせち料理にチョロギを入れているのは関東よりも北の地域が中心です。関西よりも西の地域ではおせち料理にチョロギを入れることは少ないこともあり、チョロギに馴染みのない人も多いようです。
チョロギは広く出回らない食材のため、スーパーや青果店などで見かける機会は少ないと言えるでしょう。その一方で、産地から近い道の駅や、地元の名産品を集めた物産館などで購入できることがあります。
おせち料理として選ばれるものには、何かしらおめでたい意味や縁起の良い意味が込められているものです。では、チョロギに込められている意味について見ていきましょう。
チョロギを漢字で書く場合、様々な表記方法があります。「長老木」「長老喜」「長老貴」「丁呂木」「丁梠木」「千代呂木」などのパターンがあり、いずれも長寿を願うという意味が込められています。
おせち料理の中では、チョロギはよく黒豆と一緒に添えられています。黒豆には「まめに働くという」意味があり、黒豆とチョロギを合わせることで「まめに健康で長く働けるように」という意味合いになります。
おせち料理の食材は、それぞれ何かしらの意味を持っているもの。そこでこちらでは、チョロギと似た意味を持つおせちの食材を紹介していきます。
海老は長いひげを持ち、茹でたり焼いたりすると身が硬くなって、背中が丸くなります。その姿が年老いた人に見えるため、海老は「長寿」を意味する料理として、「海老のように背中が丸くなるまで長生きできるように」という願いが込められています。
昆布は「よろこぶ」の語呂合わせから、「喜ぶ」という意味があります。さらに「養老昆布(よろこぶ)」とも通じているため、不老長寿の願いも込められています。
菊花(きっか)かぶは、かぶを菊の花に見立てた料理です。菊は邪気を払うとされており、その点から菊花かぶは長寿を表しています。
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スーパーや青果店でも、なかなか出会う機会のないチョロギ。もし生のものを見つけることができたのであれば、自分で調理してみるのも良いかもしれません。その際には、できるだけ新鮮なものを選びたいところです。そこでこちらでは、新鮮なチョロギの見分け方などについて解説します。
チョロギは、表面の色で新鮮さを見分けることができます。収穫したてのチョロギは、表面は真っ白です。時間が経つにつれて、茶色っぽく変わっていきます。そのため、新鮮なものが欲しいのであれば白いチョロギを選ぶと良いでしょう。また、大きさについても、丸みのある大粒のもののだとさらに味が良いと言われています。
乾燥に弱い植物ということもあり、チョロギを長く保存する場合は土の中に埋めるのが最適です。大量にある場合は土の中で保存して、調理する際に必要な分だけ掘り出せば、常に新鮮な状態で食べることができます。購入してから数日以内に調理する場合は、乾燥しないようにポリ袋などに入れ冷蔵庫に保管しましょう。冷蔵で保存できる期間は3〜4日で、それ以上の日数が経過すると新鮮さは失われ、表面が茶色く変色していきます。また、塩漬けする場合は、表面が白いうちに漬けると綺麗に仕上がります。
チョロギを使った料理は、日本ではおせちに添えられる漬物がメインです。そのため、使い道は限られているというイメージがあるかもしれませんが、実はフランスなどヨーロッパでもチョロギは栽培されており、様々な料理の食材として活躍しています。こちらでは、チョロギを使った料理のレシピをご紹介します。
日本でポピュラーなチョロギ料理が梅酢漬け。おせち料理では黒豆に上に添えられているもので、赤と黒の色合いが見た目にもキレイです。さわやかな酸味が特徴で、お酒のおつまみにも向いています。
・チョロギ/200g
・梅酢/200t
・塩/小さじ1
・酒/大さじ2
・砂糖/大さじ2
1.水でチョロギを洗い、その後しっかり水分を取り除きます。
2.鍋でお湯を沸かしたら、チョロギと酒を加えて3分茹でます。
3.チョロギと塩を保存袋に入れて混ぜ、半日〜1日冷蔵庫で保管します。
4.冷蔵庫から出したチョロギを塩抜きします。
5.砂糖と梅酢、チョロギを保存袋に入れ、空気を抜いて冷蔵庫で2日冷やします。
チョロギをベーコンときのこと一緒にバターで炒める料理です。単なる添え物ではなくメイン料理としての存在感もあり、ご飯も進みます。
・チョロギ/両手で2つかみ程度
・ベーコン/4〜5枚
・ぶなしめじ/1袋
・塩こしょう/お好みの量
1.調理する直前に、水でチョロギの土汚れを落とします。
2.フライパンにバター(3〜5g)を落とし、弱火で熱します。
3.切ったベーコンとしめじを入れて、炒めます。
4.しっかりと火が通ったらチョロギを入れます。
5.
仕上げに塩コショウで味を整えたら完成です。
しょうゆ漬けやみそ漬け、かす漬けなどの漬物としての用途があります。その他、吸い物の具や天ぷら、サラダ、和え物、マリネなどの調理法もあり、チョロギは様々な食べ方を楽しむことができます。
おせち料理の一品として知られている一方で、謎に包まれている印象もあるチョロギ。貝のような形の部分は、実は塊茎で白い色をしており、栄養も豊富です。そんなチョロギですが、おせちとしてだけでなく、様々な食べ方を楽しむこともできます。お店で売っているのを見つけたら、調理にチャレンジしてみるのはいかがでしょう。何か新しい発見があるかもしれません。
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