日本では、よその人から贈り物をもらったらお返しをすることが慣習的に行われています。そのため、お歳暮を受け取った場合も、「お返しをしなければ相手の方に失礼では」と思ってお返しの品を贈ろうとする方も多いのではないでしょうか。今回は、お歳暮のお返しはどうすればよいのかについてお伝えします。
お歳暮は本来、目下の方から目上の方や上司などに日頃の感謝の気持ちを込めて贈るものです。そのため、お歳暮をもらっても基本的にお返しをする必要はないと考えられています。
贈り主がお世話になったことに対するお礼の気持ちで贈ったお歳暮に対して受取人がお返しをしてしまうと、お歳暮の贈り主に「かえって相手に気を使わせてしまったのではないか」と思わせてしまうことにもなりかねないからです。
自分がお歳暮を贈った覚えのない方からお歳暮をいただいた場合でも、お返しは不要です。
ただし、お歳暮が届いたらなるべく早いタイミングでお礼状を出しましょう。お礼状はお歳暮をいただいたお礼であるともに、無事に品物が届いたことを相手の方に知らせる意味合いも兼ねています。
家族や親しい友人・知人であれば電話やメールで済ませるのもよいでしょう。しかし、目上の方や年上の方であれば、電話・メールではなく直筆のお手紙を送ると、より丁寧な印象を与えられます。お礼状は封書ではなく、はがきでも構いません。手紙やはがきは、雪だるまなどの季節のイラストがさりげなく描かれているものを使うのも細やかな気遣いが感じられていいですね。
「お礼状だけではどうしても気が済まない」と思うのであれば、お歳暮の到着後しばらく時間が経ってから、いただいたお歳暮の半額程度の品物を「お年賀」「寒中御見舞」「御礼」として贈ります。
お礼状の文面に決まった形式はありませんが、書く内容の順序はだいたい決まっています。全体の流れとしては、以下のような流れで書けばまず間違いはないでしょう。このほかにも、自分や家族の近況を軽く書き添えるのもおすすめです。
夫宛てに届いたお歳暮に対するお礼状を妻が書くときは、お礼状の最後に夫の名前を書き、その横に小さく「内」と記します。妻以外の家族や会社の部下が代筆する場合は、「内」ではなく「代」と書きましょう。
拝啓 寒気の候、○○様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
私たちは相変わらず、仕事に趣味に日々忙しく過ごしております。
さて、この度はお心のこもったお品をいただきまして、ありがとうございました。
早速家族がそろったときの夕食に出したところ、家族の皆で取り合いになるほど大好評でした。
これからますます寒さが厳しくなりますゆえ、○○様もご家族の皆様もどうぞご自愛くださいませ。
まずは略儀ながら書中にて御礼申し上げます。
敬具
□□□□(お歳暮の受取人の氏名)
内
ただし、お礼状を出すのが1月に入ってからになってしまった場合は、時候のあいさつの部分を「寒中御見舞」「寒中御伺」としましょう。
お歳暮については「お返しをしなければ」と考える必要はないので、素直に受け取るだけで問題ありません。ただし、贈り主の心遣いに対して感謝の気持ちを忘れないよう、お歳暮が届いたらすみやかに贈り主に連絡を取り、お礼を述べることが大切です。今後も気持ちよくお付き合いを続けていけるよう、受け取る側も最低限のマナーは守りましょう。