
お歳暮をいただいた際に欠かせないのが、お礼状です。感謝の気持ちは、できるだけ早めに伝えると良いでしょう。本記事では、お礼状のタイミングや書き方には一般的なポイントがありますが、相手やご自身の事情に合わせて無理のない範囲でご活用ください。本記事では、さまざまな場面で参考になるお礼状のヒントをまとめました。
まずは、お歳暮におけるお礼状の基本的なルールから解説します。
お礼状は、お歳暮が届いてからできるだけ早めに出すことが望ましいとされていますが、ご事情に応じて無理のない範囲でご対応ください。お礼状が遅れてしまっても、感謝の気持ちを伝えることが大切です。
お礼状の形式として、縦書きの封書はより丁寧な印象を与える場合がありますが、はがきやメールなど、相手のご事情やコミュニケーションスタイルに合わせて選ぶことも大切です。
「封書で縦書き」は丁寧な印象を与えるということでお礼状の形式として推奨されていますが、すべての相手に対してそうしなければならないわけではありません。たとえば、親戚や懇意にしている友人などには、はがきやメールでお礼状を送っても信頼関係が損なわれることはないでしょう。相手との親密度や関係性から、堅苦しくならない送り方を選ぶことも大切です。
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お礼状には、一般的に含めると良いとされる要素がありますが、形式にとらわれすぎず、ご自身の言葉で気持ちを伝えることも大切です。
郵便局のネットショップが実施したアンケートによると、お歳暮を贈る相手は親族や親しい方々が多いという結果が出ています。
そのため、お礼状も必要以上にかしこまず、気持ちを込めて書き添えることで、いっそう喜ばれるでしょう。

このアンケート結果によれば、ビジネスシーンよりもプライベートで近しい相手が中心となっていることがわかります。
最も多かったのは「親戚」(24.6%)、次いで「恩師・お世話になった人」(15.5%)、「友人・知人」(15.3%)と、身近で日頃から親しくしている相手が上位を占めました。
それでは、お礼状の内容や構成について見ていきましょう。
お礼状の一行目には、まず「頭語」を書きます。頭語とは相手への敬意を表す言葉で、「拝啓」「拝呈」などが一般的です。より丁寧さを表現したい場合は、「謹啓」「謹呈」を使います。また、頭語は手紙の結びや文末に書く「結語」とのセットで使うことになります。
時候のあいさつとは、手紙の冒頭に入れる季節を表す言葉です。季節の変化や行事に触れることで、文章をまとめる役割を果たしています。お歳暮を贈る12月には「師走の候」「初冬の候」などの言葉を使います。ただし、親しい人へのお礼状の場合には「今年もいよいよ押し迫ってまいりました」「寒気が厳しくなってきました」などの柔らかい表現でも問題はありません。
時候のあいさつの直後に、相手の近況や健康を尋ねる言葉を書きます。「寒さも本格的になってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか」という相手の様子を尋ねるような言葉を入れると、スムーズで読みやすい文章になります。
次は、お歳暮を受け取ったことに対するお礼や、感謝の気持ちを込めた文章です。「この度はお歳暮の品をいただき、ありがとうございました」といった感謝の言葉に加えて、「家族も喜んでいる」という旨の内容も一緒に伝えると、送り主に「贈ってよかった」と思ってもらえるでしょう。
お歳暮のシーズンは年末です。近く本格的な寒さが訪れ、さらに年末年始の支度で忙しくなる時期でもあります。気温の低下や生活の忙しさから体調を崩しやすくなるため、相手の健康を気遣う言葉をしたためると、相手への気遣いが伝わります。
お歳暮のお礼状の文章は、相手への敬意を表す結びの言葉で締めくくります。結びに使う言葉は「結語」と言い、文の冒頭で使用した「頭語」とセットで使われるのが決まりです。どの頭語を使ったかによって結語も異なるため、あらかじめ調べておくことが大切です。たとえば、頭語が「拝啓」の場合の結語は「敬具」、「謹啓」であれば「謹言」という組み合わせになります。
最後に、お礼状を送付する日付と差出人の氏名を記します。基本的に日付は西暦ではなく、「令和○年」と和暦で書きます。

両親や親戚などの身内、あるいは友人や知人などからも、お歳暮が届くことはあるでしょう。仕事とは関係ない個人に対しても、お礼状を送ることは感謝の気持ちを伝える良い方法です。目上の方や特にお世話になった方には、封書で出す方がより丁寧とされていますが、相手との関係やご事情に応じてご判断ください。友人として親しくしている相手の場合は、堅苦しくする必要はないので、メールで送っても問題はありません。
拝啓
師走の候 貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます
平素は格別のご高配を賜り 厚く御礼申し上げます
さて、この度は結構なお品をご恵贈いただきまして ありがとうございました
御芳志誠に有難く、厚く御礼申し上げます
略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます
敬具
令和○年○月○日
○○株式会社
○○○○(自分の役職と名前)
件名:お歳暮の御礼
株式会社○○
(役職)○○○○様
拝啓
師走の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
日頃より弊社をご愛顧賜り、誠にありがとうございます。
この度はお歳暮の品をお贈りいただき、心より感謝を申し上げます。
社員一同、大変ありがたく頂戴しております。
今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、お願いいたします。
これから寒さも本格的になりますので、どうぞご自愛くださいませ。
取り急ぎメールにて御礼のご挨拶とさせていただきます。
敬具
○○株式会社
○○○○(自分の役職と名前)
拝啓
冬の季節が深まってまいりましたが
〇〇課長(役職に応じて変更)におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
この度は結構なお品を頂き 本当に有難うございました
ご高配の程、厚く御礼申し上げます
寒さもいっそう厳しくなってきましたので どうぞご自愛くださいませ
略儀ながら 書中をもって御礼申し上げます
敬具
令和〇〇年〇〇月
○○○○(自分の役職と名前)

両親や親戚などの身内、あるいは友人や知人などからも、お歳暮が届くことはあるでしょう。仕事とは関係ない個人に対しても、お礼状を送るのは礼儀です。目上の方やとてもお世話になった方などに対しては、封書で出すのが無難です。友人として親しくしている相手の場合は、堅苦しくする必要はないので、メールで送っても問題はありません。
前略
今年も残すところはわずかになってまいりましたが いかがお過ごしでしょうか
この度はお歳暮の品を頂戴しまして ありがとうございました
いつもお心にかけていただき 心より感謝申し上げます
寒さはまだ続くようです
皆様どうぞご自愛ください
略儀ながら 書中にて御礼申し上げます
草々
令和○年○月○日
○○○○(自分の名前)
件名:お歳暮の品、届きました
○○です。お元気ですか?
本日、送って頂いた◯◯を受け取りました。
いつも気にかけていただきありがとうございます。
家族みんなでおいしくいただいています。
年末で忙しい日々が続くと思いますが、体調にはくれぐれも気をつけて、元気にお過ごしください。
またお会いできることを、楽しみにしています。
○○○○(自分の名前)
お父さんお母さん、お元気ですか?
今日、◯◯が届きました!
毎年、この時期になると◯◯の味が恋しくなるので、とても嬉しいです。
寒さはこれからが本番。
お父さんもお母さんも、体調には気をつけてね。
お正月に会えるのを楽しみにしていますね。
妻が夫の代筆で礼状を書く場合は、差出人は夫の名前として、名前のそばに小さく「内」と書きます。縦書きの場合は左下、横書きの場合は右下に書き添えるとよいでしょう。また、頭語と結語には「拝啓」と「敬具」を使用します。
拝啓
歳末の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
この度は丁重なお歳暮のお品をいただき、誠にありがとうございました
いつもお心にかけていただき、(夫の名前)ともども恐縮しております
これから寒さもいっそう厳しくなってまいりますので、皆さまにおかれましてはどうぞご自愛ください。
まずは略儀ながら、書中をもちまして御礼申し上げます
敬具
令和○年○月○日
○○○○(夫の名前) 内
引っ越しや退職などのタイミングで、お歳暮のやりとりをやめたいという方もいるでしょう。角を立てることなくお歳暮をお断りするためには、相手にこれまでの感謝をしっかりと伝え、礼儀をつくすことが大切です。今年いただいた品物に関してはありがたく受け取り、次回から辞退する旨を伝えるようにしましょう。
拝啓
初冬の候、まずますご壮健のこととお慶び申し上げます
この度は、心温まるお品をお贈りいただき、誠にありがとうございました
このようなお心遣いをしていただき、家族ともども大変恐縮しております
この度のご好意は大変嬉しく思いますが、今後はこのようなお気遣いはされませんよう、お願い申し上げます
なお、今後とも変わらぬお付き合いの程、何卒よろしくお願い申し上げます
これから寒さもいっそう厳しくなる折、皆様どうかご自愛くださいますようお祈り申し上げます
敬具
令和○年○月○日
○○○○(自分の名前)
最後は、お歳暮のお礼状に関するよくある質問にお答えしていきます。
日頃からSNSやメッセージツールなどで連絡を取り合っていて、親しい間柄の相手であれば、取り急ぎのお礼メッセージで対応しても問題ないでしょう。その際、手紙やメールのお礼状のような、件名や氏名などの記載は不要です。
身内や友人などの親しい間柄であれば、電話でお礼を伝えても問題ないでしょう。
ただし、相手が年末で慌ただしく過ごしている場合は、電話での連絡は負担になってしまう可能性があります。そのため、手紙やメールなど、相手のタイミングで確認してもらえる手段を選ぶ方がよいでしょう。
関連記事:お歳暮を贈るときのマナーとは
お礼状と一緒に品物も贈ることはマナー違反ではありません。
お返しの品物を添えても差し支えありません。返礼の品物については、いただいた品物の半額程度を目安にするケースもありますが、相手との関係性やご自身のご事情に合わせて、無理のない範囲で選ぶことが大切です。
お礼状だけでも十分気持ちは伝わりますが、そこに品物が添えられていたら、やはり嬉しいものです。では、実際にどんな贈り物が喜ばれているのか、郵便局のネットショップが実施した「もらって嬉しいもの」のアンケート結果を見てみましょう。

アンケート調査では『お肉・ハム』などが多く選ばれましたが、贈る相手のご事情やお好みに合わせて選ぶことが大切です。ランキングは参考情報としてご活用ください。
お歳暮をもらった場合は、感謝の気持ちをできるだけ早く伝えると丁寧です。お礼状や電話、メールなど、ご自身や相手との関係性に応じた方法をお選びください。取引先や身内・友人など相手によってお礼状の構成やふさわしい内容は異なりますので、ポイントをしっかり理解した上で送るのが大切です。一方、お礼状は縦書きの封書に入れて出すのが基本ですが、相手との関係に応じてはがきやメールで伝えても問題はありません。とくに親しい間柄であれば、日頃連絡を取り合っているツールで、取り急ぎのお礼を伝えても問題ないでしょう。
また、来年からお歳暮をお断りしたい場合は、お礼状を送る際に伝えるのがおすすめです。ご自身の状況や相手との関係性に合わせて、感謝の気持ちをお伝えいただければ幸いです。
郵便局のネットショップでは、冬ギフトを多数取り揃えています。お歳暮をいただいた方へ、お礼状だけでなく品物をお返ししたい場合にぴったりなギフトも豊富に用意していますので、ぜひチェックしてみてください。
※コラムの内容については、地域性や諸説ございます。
日本郵便株式会社として記載内容のみを推奨しているものではございません。