お歳暮は、「贈るべき相手が決まっている」というわけではありません。それがかえって誰に贈るべきなのか迷ってしまうポイントです。今回は、一般的なお歳暮の贈り先を紹介いたします。
また、お歳暮の品物を選ぶポイントや費用相場、マナーなど、お歳暮の基本についても解説していますので、ぜひ参考にして、相手に喜ばれるお歳暮を贈りましょう。
お歳暮は、年の瀬に1年お世話になった人に感謝の気持ちを込めて贈る贈答品です。そのため、贈りたいと思った相手に贈るのが正解です。しかし、なかには贈らないと失礼だと受け取られるリスクもあるので、一般的なお歳暮の贈り先を覚えておきましょう。
現在、親族に贈るお歳暮には「日頃の感謝を伝えるもの」という意味がありますが、昔はお正月に祖先をお迎えする際のお供え物として本家に贈っていた習慣からきているとも言われています。
上司や取引先など仕事の関係先に贈ることもあります。しかし最近はコンプライアンスの問題によりお歳暮を辞退する企業もあるようなので、お歳暮を贈る前にはタブーを犯さないよう注意が必要です。
昔はお世話になっているお稽古の先生に感謝の気持ちを込めて、お中元・お歳暮・お年賀など季節の挨拶をする風潮がありました。最近はお稽古のジャンルも様変わりし、贈るかどうかは教室によって様々です。先生によって断る方もいらっしゃるので、事前に事務や管理スタッフに聞いてみると良いでしょう。
お歳暮は本来、目上の方に対して贈るものですが、最近では離れて暮らしていて滅多に会えない友人や親しい同僚、ママ友などに贈る方も増えてきています。相手の好みをリサーチし、ありがとうの気持ちを込めてお歳暮を贈るととても喜ばれますよ。
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感謝の気持ちを伝えるためのお歳暮ですが、贈ることで失礼にあたる場合やルール違反になる場合があります。職業や立場によっては、お歳暮を受け取ることをNGとしている相手もいるので、覚えておきましょう。
学校の先生や政治家といった公務員は、金銭や物品を受け取ることが法律で禁止されているため、お歳暮を贈るのはNGです。お歳暮を受け取ると利害関係が疑われるだけでなく、公務員倫理法違反になってしまうので、気をつけましょう。
規則としてお歳暮の受け取りをNGとしている企業には、お歳暮を贈ることはできません。とくに大企業の場合、お歳暮の贈答が利害関係に利用されるのを防ぐため、規則で禁止している場合が多くなっています。また、社内において上司や役員、社長へのお歳暮を禁止している企業もあるようです。
お歳暮のお礼状に「お歳暮を断りたい」という旨の文が記載されていたり、断り状や電話でお歳暮を断られたりした場合、お歳暮を贈り続けると失礼にあたります。相手に気を使わせないよう、遠慮してお歳暮をお断りするケースもありますが、次のようにはっきりとした理由のもとにお歳暮をお断りする人もいます。
贈りたいと思っても、相手からすると負担に感じることもあるので、お断りを入れられたら素直に受け止めて、贈るのをやめましょう。
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せっかくお歳暮を贈るのであれば、相手に喜んでもらえる品物を選ぶのがおすすめです。贈る相手によってベストな品物の選び方を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
取引先にお歳暮を贈る場合、従業員で分け合うことが想定されるため、小分けされている品物を選ぶのがおすすめです。たとえば、個包装のお菓子や、缶ジュース、ゼリーなどは、従業員に配りやすいほか、バラエティーも豊富なので、喜ばれます。また、企業には数多くのお歳暮が届くことが予想されるため、保管場所に困らないよう、常温保存できる品物を選ぶと喜ばれます。
上司は近い間柄なので、相手の嗜好を考えた上で、お歳暮の品物を決定するのがおすすめです。お酒が好きな上司なら、住んでいる地域では買えない地酒を贈ったり、健康に気を使っている上司なら、オーガニックのドレッシングや調味料を贈ったりなど、普段の会話からヒントを得て品物を選んでみてください。
両親へのお歳暮は、旅行で食べて気に入った食べ物や、お取り寄せしておいしかった食べ物を贈ると喜ばれます。また、年末年始に帰省する予定があるのであれば、高級なお肉やカニなどの海鮮を贈ると、一緒にグルメを楽しめるでしょう。
友人に贈るお歳暮は、一般的なお歳暮よりも少し予算を抑えた3,000円程度の品物から選ぶと、相手も気兼ねなく受け取れるでしょう。家庭を持っている友人なら、子どもが喜ぶお菓子やジュースを贈ると喜ばれます。独身の友人なら高品質なタオルや保冷グラスなど、日常生活を少し上質にしてくれる品物を選ぶのがおすすめです。
お歳暮を贈るときは、縁起の悪い品物やタブーとされる品物を避けないと、失礼にあたる可能性があります。次の品物はお歳暮で贈ってはいけないと言われているので、注意しましょう。
お歳暮の相場は相手に関わらず3,000円〜5,000円程度と言われています。明らかに相場以上の品物を贈ると、かえって相手に気を遣わせてしまう場合があるので、品物選びは慎重に行いましょう。ただし、とくにお世話になった相手や、格別なお礼の気持ちを伝えたい相手に贈るお歳暮は、5,000〜10,000円程度でも構わないとされています。
お歳暮を渡すときは、相手に失礼のないようにマナーを守りましょう。直接渡す場合や郵送する場合に限らず、品物の表包装には赤と金、または紅白の水引と熨斗(右上にある飾り)をつけます。水引と熨斗が印刷された「熨斗紙」をつける場合、水引の蝶結びの結び目の上に「御歳暮」と書き、結び目の下に名前を書きます。相手ごとの渡し方のマナーは次のとおりです。
上司や取引先にお歳暮を渡すときは、手渡しが基本のマナーですが、訪問するよりも宅配の方が手間にならないため、喜ばれる可能性があります。
手渡しする場合は、挨拶の後にすぐ品物を差し出すのではなく、席に案内してもらい、相手が着席してから渡します。風呂敷や紙袋から品物を取り出して両手で持ち、相手が表書きを読める向きで渡すのがマナーです。
お歳暮を配送する場合は、お歳暮を発送したことが分かる送り状が品物よりも先に着くように手配します。手渡しするときは包装の上から熨斗をかける「外のし」、宅配で送る場合は品物に熨斗をかけてから包装する「内のし」で発送するのが一般的です。
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両親や友人といった親しい間柄においても、お歳暮の渡し方や送り方のマナーは変わりません。しかし、年末年始の挨拶に直接顔を合わせる機会がある場合は、直接手渡しすると喜ばれるでしょう。遠方で両親に直接会えない場合は、送り状に子どもからのメッセージや絵を添えたりすると、気持ちが伝わります。また、親しい間柄の場合は、通常の熨斗紙よりも簡易的な短冊熨斗を使用しても失礼にはあたりません。
はじめてお歳暮を受け取ったときや、お歳暮を贈らなかった相手からお歳暮をいただいたとき、次の2つのマナーを知っておくと安心です。
お歳暮は感謝の気持ちを伝えるために贈るものなので、お歳暮を受け取っても必ずお返しをしなければいけないわけではありません。お返しをしたい場合は、受け取ったお歳暮と同等か、半額程度の品物を「御礼」として贈るのが一般的です。または、1月8日(関東以外では1月16日)から2月4日の立春までの寒さが厳しい時期に、相手への気遣いを伝える「寒中御見舞」として贈るのもおすすめです。
お歳暮を受け取ったら、3日以内にお礼状を出すのがマナーとされています。お礼状には、お歳暮を受け取った感謝の気持ちと、今後も変わらぬお付き合いを願う旨を書くのが一般的です。お礼状はハガキで出しますが、目上の方や、とくにお世話になっている方には手書きの手紙で出すと、より丁寧なお礼になります。両親や友人など、親しい間柄の相手には電話やメールでお礼を伝えても失礼にはなりませんが、目上の相手には、電話を入れた上でお礼状を出すのが正式なマナーと言われています。
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お歳暮は1年の感謝の気持ちを相手に伝える、大切な機会です。しかし、なかにはお歳暮を贈ってはいけない相手もいるので、お歳暮を贈るときは相手の立場や意向を確認してから贈るのがおすすめです。また、お歳暮は基本的なマナーを守って贈るようにすると、失礼なく受け取ってもらえます。せっかく贈るのであれば、喜んでもらえるお歳暮を贈りましょう。
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