一年の締めくくりや始まりの季節である冬は、お世話になった人や親しい人に挨拶をする時期でもあります。挨拶の手段として、お歳暮やお年賀などの贈り物はよく知られていますが、寒中見舞いについては何をどのように送るべきなのかあまり認知されていないかもしれません。そこで今回は、寒中見舞いの由来や意味、寒中見舞いを送る適切な時期、はがきを送る際のマナー、寒中見舞いにふさわしい文章の構成や状況に応じた文章の例などについて解説していきます。
お世話になっている人などに送るお便りである寒中見舞い。実際に送っている方もいらっしゃると思いますが、そもそも寒中見舞いとはどのような風習なのでしょうか。
寒中見舞いは、もともと暑中見舞いと同じように、冬の最も寒い時期に相手を気遣って送る挨拶状としての意味合いを持つ風習でした。明治時代の末期から盛んに行われるようになったと考えられており、中でも寒さが非常に厳しい雪深い地域で特に活発だったとされています(※諸説あります)。
現在の寒中見舞いは、お互いの近況を報告し合う季節の挨拶状としての意味だけではありません。相手や自分が喪中の場合や、年賀状を送りそびれてしまった場合に出されることも多くなっています。また、お歳暮やお年賀を渡せなかった相手に対して、品物と挨拶状を一緒に贈ることもあります。
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冬の寒い時期に送る寒中見舞いですが、送るべき期間は決まっています。では、寒中見舞いの時期やはがきを出すタイミングについて見ていきましょう。
寒中見舞いは、基本的に「松の内が明ける日から立春まで」に届くようにとされています。松の内とは「お正月に門松などを飾る期間」のことで、松の内が過ぎたら飾りを外します。松の内の期間は地域によって異なり、関東地域では1月7日までです。関西や他の地域では15日とする地域が多く、10日までとする地域もあります。立春は年によって異なり、2024年は2月4日です。
寒中見舞いのはがきは、関東であれば1月8日、関西やその他の地域では16日以降に相手に届けばいいとされています。そのため、松の内が明ける日である1月7日および15日に投函すれば問題はありません。
寒中見舞いを出す時期は、松の内が明ける日から立春までの間です。立春以降に出す場合は、寒中見舞いではなく「余寒見舞い」という扱いになります。余寒見舞いのはがきはいつまでに出すものか厳密に決まっていませんが、一般的には2月4日頃から2月末日とされています。また、寒い地域では3月中旬までという場合もあります。
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寒中見舞いは、はがきで送るものです。ただ、どんなはがきでも良いわけではありません。では、どのようなはがきで送るのが適切なのでしょうか。寒中見舞いにふさわしいはがきについて、解説していきます。
寒中見舞いは、年賀はがきを使って出すのはNGです。送る場合は、通常はがきや私製はがきを使うのがマナーとされています。通常はがきとは、左上にデザインと金額が印刷されて、切手を貼る必要のない無地のはがきです。また私製はがきは、日本郵便が販売する通常タイプのサイズにあわせて、文具メーカーや印刷会社などが作成したはがきです。そのままでは送ることはできず、自分で切手を購入し、貼り付けてから送る必要があります。
寒中見舞いのはがきは、デザインの種類が豊富。中でも、スイセン(水仙)や椿、梅といった季節の花や植物の絵柄は人気があります。また、雪だるまや雪うさぎなど、雪にまつわる絵柄もあります。このように、寒中見舞いとして送るはがきには、冬を感じさせるデザインが一般的です。
自分、あるいは寒中見舞いを送る相手が喪中という場合には、新年を祝うようなおめでたい絵柄はマナー違反です。落ち着いた色合いで、派手さを抑えたシンプルなデザインが喪中のはがきとしてふさわしいとされています。
寒中見舞いと聞くと、「書き方が難しそう」というイメージがあるかもしれません。しかし実際のところ、寒中見舞いの文章構成は決まっており、基本的にシンプル。すぐに覚えられると思います。
寒中見舞いの文は、まず「寒中お見舞い申し上げます」「寒中お伺い申し上げます」という定型の挨拶から始まります。他の挨拶状でよく見られる「拝啓」「謹啓」「前略」といった頭語や時候の挨拶は不要ですので、書かないように注意しましょう。
次いで、「厳寒の候 お変わりはありませんか」「本格的な寒さを迎える折 いかがお過ごしでしょうか」と、相手の健康を気遣う内容の文章を書きます。年賀状の返礼が遅れてしまった場合には、「新年のご挨拶が遅くなり大変失礼いたしました」といったお詫びの文章を付け加えることで、申し訳なく思っている気持ちが伝わります。
近況の報告として、「昨年結婚いたしました」「家族一同 元気に暮らしています」など、1年のうちにあったことなどに関する話題を書きます。内容は、相手との関係性や親しみの度合いに応じて適切なものに変えていきましょう。自分自身が喪中である場合は、「昨年に○○が他界いたしましたので ただいま服喪中のため年始のご挨拶を控えさせていただきました」といった内容を記し、喪中であることを伝えます。
文章の最後の部分は、結びの挨拶。「本年もよろしくお願いいたします」「まだまだ寒さが続きますが どうかお身体を大切にお過ごしください」など、相手を気遣う言葉や今後も引き続き良好な関係を保っていたい旨の挨拶を入れて、寒中見舞いを締めくくります。
本文が終了したら、「令和○○年○月」と日付を入れます。また、差出人もわかるよう、はがきの左端に自分の住所と電話番号、氏名を書き入れます。
寒中見舞いは、送る目的によって文面が変わってきます。そこでこちらでは、目的に応じた寒中見舞いの例文を紹介していきます。なお、寒中見舞いなど季節の挨拶状には、必ずというわけではありませんが句読点を使わないのが一般的です。
寒中お見舞い申し上げます
寒さが厳しき折 いかがお過ごしでしょうか
おかげさまで私どもは元気に過ごしております
まだまだ寒さが続きますが どうぞお体を大切にお過ごしください
令和○○年○月
寒中お見舞い申し上げます
皆様におかれましてはお変わりなくお過ごしとのこと 心よりお喜び申し上げます
新年のごあいさつをいただきながら ご挨拶もせず失礼申し上げました
おかげさまで家族一同 元気に暮らしております
それでは本年もどうぞよろしくお願いいたします
令和○○年○月
寒中お見舞い申し上げます
ご丁寧なお年始状をいただきありがとうございました
昨年●●月に父が永眠いたしましたので、年頭のご挨拶を控えさせていただきました
連絡が行き届かず大変失礼いたしました
本年も変わらぬお付き合いのほど よろしくお願い申し上げます
令和○○年○月
寒中謹んでお見舞い申し上げます
年始のご挨拶は喪中のことと存じ遠慮させていただきましたが 皆様いかがお過ごしでしょうか
まだまだ厳しい寒さが続きます
お身体を大切にされますようお祈り申し上げます
令和○○年○月
寒中お見舞い申し上げます
先日はご服喪中と存じ上げず 年賀状を差し上げてしまい誠に失礼致しました
ご冥福をお祈り申し上げるとともに深くお詫び申し上げます
まだまだ寒さが募る時期ですので どうか御身大切にお過ごしください
令和○○年○月
寒中見舞いとして、「品物を贈ってもいいものだろうか」と疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれません。結論として、品物を贈ることには何ら問題はありません。その場合、どのような品物が適切なのでしょうか。
寒中見舞いとは、相手を気遣う気持ちをしたためた挨拶状だけではありません。お歳暮やお年賀と同じく、お世話になった人に贈る冬のギフトも寒中見舞いです。何か品物を贈る場合、挨拶状も添えるとより丁寧さが伝わります。
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寒中見舞いの贈り物の購入金額は、3,000円前後が相場とされています。相手との関係性によっては、単価5,000円以上の品物をする場合もあります。ただ、あまりにも高額な場合は相手に気を遣わせてしまうこともあるため、注意が必要です。
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寒中見舞いとして贈る品物は、相手の家族構成や年齢層、好みなどを考慮した上で選ぶようにしましょう。基本的には、お歳暮として贈るギフトと同じような品物で問題はありません。郵便局のネットショップでは、冬ギフトのラインナップが充実しています。人気のお菓子、新鮮な魚介類やお肉、季節の果物などの品物を幅広く取り扱っており、寒中見舞いにピッタリの品物が見つかるでしょう。
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寒中見舞いは一般的に季節のご挨拶として送るはがきのことですが、年賀状を返すのが遅れた際の返礼や喪中のおしらせなど、使い方は多様化しています。それぞれの状況に応じてマナーや注意すべき点があるので、それらをしっかり理解して寒中見舞いを送るようにしましょう。また、はがきを送るだけではなくお歳暮のような品物を贈るのも問題はありません。寒中見舞いの機会を利用して、いつもお世話になっている人やこれからもお付き合いを続けていきたい人に、気持ちを届けてみてはいかがでしょうか。
※コラムの内容については、地域性や諸説ございます。
日本郵便株式会社として記載内容のみを推奨しているものではございません。