お歳暮とは、お世話になった人に一年間の感謝を込めて贈り物を渡す風習です。ここではまず、お歳暮の由来やお中元との違いといった基礎知識を紹介します。
お歳暮は、中国の旧暦と、年末からお正月にご先祖様の霊をお迎えする風習「御霊祭」が結びついて生まれたものだと言われています。御霊祭は室町時代ごろに始まった風習です。本家のご先祖様を祀るためにお神酒が供えられ、分家やよその家に嫁いだ人がおつまみとして塩鮭やするめ、数の子などを持っていくのがならわしでした。
さらに江戸時代になると、年末に武士や商人が目上の人やお得意様に贈り物をする風習が根付いていきました。そして明治時代以降、お世話になった人への贈り物をする行事として一般に広まっていったとされています(※所説あります)。
お中元もお歳暮と同じく、中国の旧暦がルーツと言われているという風習です。贈り物に込められた「お世話になった人に感謝を伝える」という意味も共通しています。お歳暮とお中元の違いを挙げるとすると、贈る時期と、感謝を伝える期間です。年末に贈るお歳暮は1年間の感謝を、夏に贈るお中元は上半期の感謝を伝える意味が込められています。そのため、お歳暮のほうがより重視される傾向にあります。
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お歳暮は12月上旬~12月25日頃に贈るのが一般的で、地域によって違いがあります。
地域 | 贈る時期 |
---|---|
関東 | 12月1日〜12月20日 (11月中に贈るのも良い) |
北海道 | 12月10日頃〜20日頃 |
東北 | |
北陸 | |
東海 | |
関西 | |
中国 | |
九州 | |
沖縄 | 12月初旬〜12月25日頃 |
年末に迫るほど仕事納めや大掃除などで多忙になるため、早めに届けるのが良いとされています。
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例年、百貨店の催事場でのお歳暮の受付は11月初旬〜中旬からはじまります。相手に余裕をもって届けられるように10月中に準備をはじめて、11月に品物を選ぶのがおすすめです。また、ビジネスシーンでのお歳暮は、年末の忙しい時期を避けるために11月末から発送するケースもあります。11月中の注文を対象とした早割を実施しているネットショップもありますので、費用面からも早めに注文しておくのが安心でしょう。
お歳暮は日頃のお礼を伝える風習ですので、「品物選びにこだわって相手に喜んでもらいたい」と考える方も多いのではないでしょうか。ここでは、4つの観点からお歳暮の選び方を紹介します。
お歳暮の単価は、3,000〜5,000円が相場です。一般的に3,000〜5,000円は相手に気を遣わせない価格だとされていて、百貨店やネットショップでもこの価格帯の商品が豊富に取り揃えられています。とくに感謝を伝えたい相手には5,000〜10,000円の品物を選ぶ人もいるようです。
相場は、相手との関係性によって予算も少しずつ変わってきます。友人や知人、親戚といった気を使わない関係や、取引先へは3000円程度が一般的です。上司やお得意様などには、相手からの日頃の厚意へ感謝の気持ちを込めて5,000円程度の品を選ぶことが多いようです。
また、贈る本人の年齢が上がるにつれて、単価も上昇する傾向にあります。しかし、10,000円以上の品物は相手に負担をかけてしまう可能性が高いでしょう。高価な贈り物で感謝を伝えたい相手には、お歳暮ではなく「御礼」として一度だけ贈るのもおすすめです。
<参考>
お歳暮のアンケート調査(7) / ネットリサーチのマイボイスコム
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お歳暮の品物は、お菓子やハム、ビールをはじめとする食べ物が人気です。家族や友人・知人など、食の好みや家族構成をよく知っている人に向けて送る場合は、相手にあった品物を選ぶことで喜んでもらえるでしょう。
食べ物を選ぶときは、相手にアレルギーがないか、料理をするかなども参考になります。日常的に料理をする相手であれば、年末年始に在宅しているか確認したうえで、ブランド肉や新巻鮭、カニなどの調理が必要な品物を贈るのもおすすめです。
また、毎年お歳暮を贈っているうちに「去年はお菓子だったから、今年は変えたほうがいいのかな」と気になることもあるでしょう。しかし、お歳暮では毎年同じものを贈っても問題ありません。
相手の好みが分からない場合は、普段の会話からさりげなく聞いておくと配慮のある品物を贈れます。また、相手が好きな品物を注文できるカタログギフトという選択肢もあるので、検討してみてください。
1~2人暮らしの家庭や、法人へのお歳暮には、常温で長期間保管できて、個包装の品物を選ぶのがおすすめです。焼き菓子やジュース、コーヒーなどは好きなタイミングで楽しめるので、受け取ったあとも相手の負担になりにくいでしょう。
また、個人向けのお歳暮であれば、食べ物以外にもバスグッズやタオルといった日用品も人気です。洗剤や石鹸などの詰め合わせギフトも、お歳暮用の品として販売されています。少し特別感のある日用品を選んで贈ると、きっと相手を問わず喜んでもらえるでしょう。
お歳暮に贈ると、失礼な意味に受け取られる可能性のある品物がいくつかあります。たとえば靴下は「相手を踏みつける」、肌着は「みすぼらしい格好をしている」、現金・金券は「相手がお金に困っている」といった意味として解釈できます。また、「縁を切る」という意味もあるはさみのように、縁起が悪い意味のある品物も贈り物には向きません。
伝統的な風習であるお歳暮には、さまざまなしきたりがあると言われています。ここでは、お歳暮にまつわるマナーを5つ紹介します。
お歳暮もお中元も、一度贈った相手には毎年贈るのがマナーとされています。お歳暮かお中元のどちらかを贈ったら、毎年継続してお歳暮とお中元のどちらも贈るのが一般的です。ただし、お歳暮とお中元ではお歳暮のほうがより重視される傾向にあるため、お中元はなしでお歳暮だけ毎年贈るケースもあります。もし、毎年贈るのが難しいものの贈り物をしたい場合には、お歳暮ではなく「御礼」や「寒中見舞い」として贈るといいでしょう。
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「送り状」とは、お歳暮を配送することを相手へ伝える挨拶状です。配送でお歳暮を届ける場合は、遅くても品物が届く3日前ごろまでには、送り状が配達されるよう手配するのが正式なマナーです。前もって知らせることで、相手に品物を受け取る準備をしてもらうことができます。
送り状の形式は、手書き・縦書きの手紙形式が一般的です。文面では、日頃の感謝やお歳暮の品物について記載します。送り状が間に合わない場合、添え状として同封しても構いません。
なお、手渡しする場合は送り状も添え状も不要です。事前に相手の都合をうかがい日程を調整し、お歳暮を渡しながら年の瀬の挨拶と一年間の感謝を伝えましょう。
お歳暮の品物は熨斗(のし)をつけるのがマナーで、百貨店やネットショップでは熨斗を簡略化した「熨斗紙」が使われるのが一般的です。
熨斗紙には、表書きと名前を入れるのがマナーです。水引の上部に「お歳暮」または「御歳暮」、水引の下部には自身の名前や会社名を記載します。手渡しの場合は包装紙の外に熨斗紙をつける「外熨斗」、配送の場合はギフトの箱などに直接つけ、その上から包装する「内熨斗」が採用されます。
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お歳暮は祝い事ではなく感謝を伝える贈り物なので、喪中の場合でも問題なく贈れます。喪中の相手に贈る場合は、送り状での祝いの言葉や、紅白の水引を使ったりするのを避けるなどの配慮をすることで、相手への心遣いを伝えられます。
しかし、身内が亡くなった直後は葬儀や手続きなどで多忙になるので、四十九日が開けるまで待つのがマナーだとされています。万が一お歳暮を贈りたい相手が亡くなった場合は、親族につらい思いをさせてしまうので控えるようにしましょう。
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従来のお歳暮は目上の人へ渡す贈り物なので、受け取っても基本的にお返しは必要ありません。受け取った後はお礼状でお歳暮を贈ってくれた相手へお礼を伝えるのが、一般的なマナーとされています。
お歳暮を受け取ったあとは、なるべく早くお礼の気持ちを伝えることが大切です。家族や友人などであれば電話・メールで済ませても構いません。しかし、目上の方や年上の方であれば、手書きのお手紙を贈るとより丁寧に気持ちを伝えられるでしょう。
どうしてもお返しの品物を贈りたい場合は、半額~同額ほどの品物を、年が明けてから「御年賀」や「寒中見舞い」として送るのが一般的です。
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郵便局のネットショップにおけるお歳暮では、ジュースなどドリンク類を選ぶ方が多く、またハムや洋菓子なども根強い人気があります。しかし、もらって嬉しい品物は人によって異なるため、さりげなく確認してギフト選びの参考にすると良いでしょう。
お歳暮は、感謝を伝えたい目上の相手に送るのが一般的です。個人で贈る場合は、家族や友人、上司、習い事の先生、仲人などが挙げられます。法人の場合は、取引先やお得意様などに贈るケースが多いようです。
お歳暮を送るのは義務ではないため、ここで挙げた相手に贈らなければいけないわけではありません。とくに上司や同僚など社内でのお歳暮の受け渡しは、会社によっては禁止されているケースもあります。意図せず社内規定に触れてしまうことがないよう、同僚に確認してみると良いでしょう。
お歳暮にはさまざまなマナーがありますが、贈るうえで大切にしてほしいのは「日頃からお世話になっている相手にお礼をしたい」という気持ちです。相手に気を遣わせない範囲の予算で、喜んでもらえる品物を選びましょう。
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