年末が近づくと、お歳暮選びについて考えることが多くなります。もしも大切な方や、お世話になっている方が亡くなった場合に、お歳暮を贈ることは失礼になってしまうのでしょうか。
「喪中や忌中とは何か?」「四十九日の間にお歳暮は贈っても良いか?」といった疑問など、「喪中のお歳暮」に関するマナーについて紹介いたします。
相手が喪中のときはもとより、自分が喪中のときや故人あてに届いたお歳暮について、どのような対応をすればいいのかも解説しているので、参考にしてみてください。
「喪中」とは、遺族や親族が故人を偲び、喪に服する期間のことを表します。「忌中」と呼ばれる期間もあります。
喪中の期間は宗教を問わず、おおまかには一周忌法要が終わるまでとされていますが、近縁関係によっても異なります。忌中とは、故人が冥土を旅する期間のことです。忌中の期間は、仏式の場合に命日から49日間、神式の場合に命日から50日間を指します。
<一般的な喪中の期間の目安>
故人との関係 | 喪中の期間の目安 |
---|---|
父母、養父母、義父母 | 12〜13ヶ月 |
子ども、祖父母 | 3〜6ヶ月 |
兄弟、姉妹 | 30日〜3ヶ月 |
曽祖父母・叔父叔母・伯父伯母 | なし |
少し意外に思う方が多いかもしれませんが、贈る相手が喪中のときにお歳暮やお中元を贈ることは問題ありません。また、贈る人自身が喪中の期間でも問題なく贈ることができます。
お歳暮やお中元は、祝い事ではなく、「感謝の気持ちを伝える贈り物」であるためです。
ただし、一般的に喪中のときは「お祝い事」は避けるべきだと言われています。お祝い事の例としては、正月祝いや結婚式などが挙げられます。
このようなお祝い事に関連する贈り物はタブーですので、避けてください。
相手が喪中のときにお歳暮を贈ることは、マナー違反ではありませんが、贈るときのマナーはあります。相手に失礼がないように、配慮のある贈り物を心がけましょう。
命日から49日間が過ぎる忌明けまでは、お歳暮を避けるのがマナーです。悲しみの渦中であることや、法事などの対応の忙しさについて配慮するためです。
年内を過ぎてしまう場合は「寒中御見舞い」として贈るようにしましょう。
寒中見舞いの時期は、1月7日から2月4日頃までです。
また、贈る人自身が喪中のときも忌明け後に贈るのが一般的です。忌中の方からの贈り物を「穢れ(けがれ)」と受け取る方もいるため、注意しましょう。
故人に対してお歳暮を贈ると、遺族や親族に辛い思いをさせるおそれがありますので避けてください。故人のご家族や親族と付き合いが深くない場合は、特に何かを贈る必要はありません。
自身が喪中で故人宛にお歳暮が贈られた場合は、お礼状を書くのが一般的です。贈り物への感謝の気持ちと合わせて、当人が亡くなったことを書き添えるようにしましょう。
お歳暮の品物に送り状などの手紙を添える場合は、祝い言葉を書かないよう注意する必要があります。
避けるべき祝い言葉の例:ご健勝、ご清栄、ご繁栄、ご発展、お喜び、お慶びなど
喪中だからといって、品物選びについて特別なマナーや注意点はありません。一般的なお歳暮のマナーを守れば、問題なく贈ることができます。
贈ってはいけない品物:「縁を切る」ことを連想させる刃物類やハンカチ、「踏みつける」ことを連想させるスリッパ、「相手がお金に困っている」と思わせるおそれがある現金や金券など
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お歳暮は基本的に、紅白の蝶結びの水引に熨斗がついた熨斗紙を使います。しかし、相手が喪中のタイミングでお歳暮を贈るときは、水引や熨斗がない白無地の奉書紙を使用するのが無難です。表書きは通常どおり真ん中より上部に「御歳暮」と書き、対になる下部に名前を書きます。
また、包装紙も紅白や金など、お祝いを連想させる色や大柄のものを避けましょう。グレーや薄紫など、落ち着いた単色の包装紙を選ぶと派手に見えません。
関連記事:お歳暮の熨斗(のし)の書き方や付け方、知っておきたい基本
自分が喪中の場合でもお歳暮を贈ることに問題はありません。ただし、お歳暮は四十九日が終わった忌明け後に贈るのが一般的です。お歳暮の贈り方は相手が喪中の場合と同様に、白無地の奉書紙に表書きは「御歳暮」とします。しかし、なかには死を「穢れ(けがれ)」として、喪中の相手から贈答品を受け取るのを良しとしない人もいるので、相手に確認してからお歳暮を贈るのも一つの方法です。
関連記事:お歳暮を贈るときのマナーとは
お歳暮はお祝いの品ではなく、感謝の気持ちを伝える贈り物なので、故人宛に届いたお歳暮を受け取っても問題はありません。通常のお歳暮と同様にお礼状を送付して、受け取ったこととお礼を伝えましょう。数年にわたってお歳暮のお付き合いがある場合は、故人の葬儀が終わったタイミングで挨拶状を出したり、新年の挨拶を遠慮する喪中はがきを出したりするのが一般的です。
しかし、葬儀や納骨などの準備に追われていると連絡が漏れてしまい、相手に故人が亡くなったことを知らせていなかった場合もあるでしょう。そうした相手からお歳暮が届いた際は、お礼状で故人となったことを伝えましょう。くわえて連絡ができなかったことへの謝罪と、「仏前に供えさせていただきます」などといった感謝の気持ちを伝える一文を添えます。
故人となったことで次回からお歳暮の受け取りを遠慮したい場合は、「お気遣いありませんよう」と、お断りの文を添えましょう。
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喪中にお歳暮を贈る場合、贈ってはいけない時期を避ける必要があります。贈る時期によっては、お歳暮がお祝いの意味を持ってしまうこともあるので、失礼にあたらないように注意しましょう。ここでは、喪中時のお歳暮に関するよくある質問を紹介します。
相手が喪中の場合、基本的に忌中を避ければお歳暮を贈って構いませんが、忌明けがお歳暮の時期を過ぎてしまった場合は注意が必要です。お歳暮の時期が過ぎて年が明けると、「お年賀」を贈る「松の内」の期間に入ります。お年賀は新年をお祝いする意味があるので、お歳暮の期間が過ぎたからといって、お年賀を贈るのは避けましょう。
お歳暮の時期が過ぎてしまったら、松の内の期間を避け、寒中見舞いを贈るのが一般的です。
・松の内:関東では元旦〜1月7日、そのほかの地域では1月15日まで
・寒中見舞い:関東では1月8日以降、そのほかの地域では1月16日からそれぞれ立春の2月4日頃まで
寒中見舞いを同等または目下の相手に贈る場合、表書きを「寒中御見舞」とし、目上の相手に贈る場合は表書きを「寒中お伺い」とします。
寒中見舞いの品物は、お歳暮と同様でも問題ありません。しかし、寒中見舞いは、寒さが厳しい時期に相手を気遣うために贈るものなので、お茶やコーヒーのギフトなど、体があたたまるギフトを贈るのもおすすめです。
関連記事:お歳暮はいつまでに贈る?11月の贈答はOK?時期が遅れた場合は?
今回は「喪中のお歳暮」について、基本的な知識を紹介しました。
お歳暮は、日頃の感謝を伝えるためのものです。喪中にお歳暮を贈ることは、失礼ではありません。忌中を避けるといったマナーさえ押さえておけば安心です。
ただし、相手が喪中の場合はお歳暮を贈るタイミングや品物選びに注意を払う必要があります。反対に自分が喪中のときに届いたお歳暮は、お礼状の内容などが変わってくるため、気をつけましょう。お歳暮は大切な人に感謝の気持ちを伝える贈り物です。マナーを守って、ご縁をつなげていきましょう。
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※コラムの内容については、地域性や諸説ございます。
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