結納とは、2つの家族が婚姻関係で結ばれる前に、交わす儀式です。古くは、約1,400年前の平安時代に結納が行われた記録が残っています。仁徳天皇の息子であり、後の履中天皇となる皇太子が妃を迎える際、絹織物や酒など、納采と呼ばれる数々の品物が贈られたと日本書紀に記されています。この納采と呼ばれる品々が、後世に伝わるにつれ、形を変えて簡略化されたのが現代の結納品となっています。
結納にはさまざまなしきたりがあり、結納品の品目や進め方も、地域によって違います。大きく分けると、関東式と関西式の2種類があります。関東式は武家の流れを汲むため質素ですが、関西式は公家の流れを汲むため、豪華になる傾向があると言われています。婚家が関東と関西に分かれる場合、どちらかの風習に合わせるのが一般的です。
最近では結納をしないカップルも増えていますが、結納は日本に古くから伝わる伝統です。まだまだ一般的な風習なので、結納については、両家でしっかり相談しておくことが大切です。
結納については、お金をかける地域とそうでない知識があるため、相場にはかなり差があります。全国的な平均では、結納品にかける相場は18万円程度です。
結納は関西式の方が、費用が掛かる傾向がありますが、特に費用が掛かるのは東海地方と四国地方と言われています。結納品に反物や酒樽を用意するなど、結納品も非常に豪華なのが関西式の特徴です。九州では、ご近所や親戚に結納品をお披露目する風習もあり、費用がかさみがちです。関西式の結納は、関東式のように半返しの習慣がないため、女性側は日を改めて結納金の1割程度の品物を家族へのお土産という名目で、女性側から相手側の家に持参する風習があります。
関東式の結納は、女性と男性を同格とみなすため、お互いに結納品を交換するのが一般的です。また、結納金の半額程度を、女性側が御袴料として贈る習慣があります。最近では、お金ではなく、記念品を贈る方も増えており、こうした費用も結納品の金額に影響してきます。
正式な結納では、仲人を立てて結納品を取り交わしますが、最近では仲人を立てず、結納品の数を減らす略式結納で済ませる方も増えてきました。仲人を務めてくれた方にお礼として支払う酒肴料も必要なく、両家だけで簡単に済ませる事ができて結納品の費用も抑えられるのがメリットです。昔と違って恋愛結婚が増え、会社も終身雇用制ではなくなってきているため、仲人を立てなくても不都合がなくなってきました。結納品や結納金にかかる費用を抑えたければ、双方の婚家が納得いく形で結納を簡略化するのも選択肢の一つです。
結納品として用意する品物は、関東では金包(きんぽう)、長熨斗(ながのし)など9品目です。関西では、末広、熨斗など5品目が一般的となっています。品数や品目には地方によって違いがあります。結納品の平均相場は18万円程度ですが、品数が多くても、関東は武家式の質素な結納品のため、関西地方よりも結納品の相場は低くなります。
結納品を相場別に選ぶ場合、品数と装飾によって値段が大きく変わります。関東式の正式な結納品は9品目ですが、5品目、3品目と簡略化して予算を抑える方も増えてきました。関西式はもともと結納品の品目が少ないため、品目を減らして予算を抑えるのは難しいのですが、華美なものではなくシンプルなものを選ぶことで、結納品にかかる予算を抑えられます。
結納品には、一つ一つに幸せを願う意味が込められています。結婚を控えた家族にとって、結納は大切な儀式です。結納品を選ぶ際は、相場にこだわるよりも、納得のいく品物を選ぶのが一番です。
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