ギフトには数々のマナーがあり、それが守られていないと、どんなに真心がこもっていても、相手の気分を害してしまいます。それは商品選びでも同じです。特に縁起が悪いものはタブーとされます。
例えば数量は奇数が望ましく、4(死)や9(苦)、13など縁起の悪い数は避けるのが基本です。ただし、同じ偶数でも6や12は「ダース」という単位で考えられ、8は末広がりの数字とも解釈できます。
色では「赤」が新築祝いや開店祝いでタブーとされています。火事や赤字を連想させるからです。目上の人に履物を贈るのは、「踏みつける」という意思表示とみなされてしまいます。日本茶は弔事の香典返しに使われやすいため、ギフトにはふさわしくないと考えられています。
これらは、相手が縁起を気にしなければ贈れますが、分からない場合は候補から外すのがマナーです。カタログギフトなら、相手が自分で好きなものを選べるので、そのようなトラブルを防げるでしょう。
ギフトをもらったら、ほとんどの場合において「お返し」が必要です。ギフトは気持ちですが、贈り主は相手のために懐を傷めているので、もらいっ放しはマナー違反になります。
お返しの相場は、「半返し」という言葉があるように、贈られたギフトの「半返し(半額)」です。それより少ないのはもちろん、多すぎるのもギフトの意味がなくなるので、逆に失礼にあたります。
お返しを贈るのは、ギフトを受け取ってから1ヶ月以内です。受け取ったことだけは先に電話やメールで伝えておきましょう。還暦祝いなど会を催すなら、「引き出物」という形で渡すこともできます。
お返しの熨斗は表書きを「○○内祝」とするのが一般的です。本来、内祝いは身内でおめでたいことがあった時に、報告を兼ねたり、幸せをお裾分けしたりするために贈るものです。最近ではお返しとして贈るのが主流になっています。逆に、お祝いを贈っていない人へ内祝いを贈ってしまうと、催促されているのではないかと疑われる恐れがあります。
お返しを必要としないギフトもあります。例えば出産祝いを除く子供へのお祝いです。贈る相手が親ではなく子供なので、本来はお返しを期待できないからです。けれども、身内以外の友人や知人、勤め先の上司や同僚、部下からもらったなら、通常どおりお返しを贈ります。
親類から贈られたギフトも、最初からお返しは不要だと断られる場合があります。あくまでも「困った時はお互い様」という気持ちで贈られるので、相手方にお祝い事があった時は必ずギフトを贈りましょう。その時の予算は、お返しの相場ではなく、お祝いごとの慣例に従います。
ギフトのマナーでよくある失敗が、贈る時期の間違いです。例えば「お中元」は7月の前半(一部地域では8月前半)であり、それ以降に贈るのは「暑中見舞い」や「残暑見舞い」になります。お盆を過ぎた頃に「お中元」を贈ってしまったら、相手が呆れてしまうでしょう。特にビジネスが絡む時は要注意です。
熨斗の水引や表書きの間違いもよくあります。例えば、快気祝いは「結び切り」の水引を使い、入院や治療をした当事者から、お見舞いをくれた相手に贈るものです。病気やケガというデリケートな問題なので、「蝶々結び」にしたり、当事者に「快気祝い」の表書きで贈ったりするのは、失礼にあたります。
贈ってはいけない相手にギフトを届けるという失敗もあります。例えば利害関係にある公務員には、ギフトを贈れません。公立学校の教師は意外と忘れがちです。政治家もギフトの内容によっては、法に触れる恐れがあります。知らずに贈ってしまうと、相手には返送と、受け取れない旨の添え状を書く手間が発生します。
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