全国麺巡りの旅 日本の麺文化を再発見!歴史や文化とともに各地域で愛され続ける麺料理。自分だけの究極の推しの一杯を見つけませんか。

作り手こだわりレポート

Vol.2 「西山製麺株式会社」様

札幌ラーメンとともに
歩み続ける西山製麺

日本の食文化を語る上で欠かせない存在の一つ、ラーメン。その中でも、札幌ラーメンは独自の進化を遂げ、全国的な人気を誇っています。
西山製麺株式会社は、3,000軒を超える有名ラーメン店の麺を製造し、札幌の小学校の教科書にも掲載されている札幌ラーメンの一翼を担ってきた企業です。日本はもちろん、海を越えて海外にまでラーメンの美味しさを届けています。

西山製麺株式会社 西山社長
西山製麺株式会社 西山社長

ラーメンの魅力

「ラーメンは、丼ぶりの中で全てが完結している料理。麺だけが主張してもダメ、スープ・具材、それらがバランス良く引き立てあって初めて、一杯のラーメンになるから面白い」 と語る西山社長。一軒の屋台から始まり、ラーメンに向き合ってきた長い歴史と、麺づくりへの深いこだわりを西山製麺に伺いました。多くのラーメンファンを惹きつける魅力、注目すべきは「麺そのもの」へのこだわりでした。

こだわりの麺づくり

切出(ウェーブ)

当初、他の麺と差別化するために、卵黄を使用して麺を黄色くしました。さらに効率化を図り、白身も加えることによって、ツルツルとした食感が生まれました。「でもそれだけだとスープや具材が麺に絡まらなくなる課題もあったんです。そこで手もみでちぢれ形状にすることでスープとの絡みをアップさせました。」
初期の段階では手作業で揉むことによって“ちぢれ”を作り出していました。これが、スープや具材を絡め取る役割を果たしました。
こうした試行錯誤の中で、一つひとつ積み上げた伝統技術と時代に応じて進化させてきた技術が融合し、機能性と食欲をそそる「ちぢれ麺」「黄色い卵めん」が誕生しました。
現在はビタミンB2で色付けし、ちぢれの工程は手作業から機械化へと移行しています。ローラーで生地を伸ばし切り刃で細かく裁断した後、機械によって麺に「ちぢれ」を施す技術が取り入れられるようになりました。それでも、完全に機械任せにするのではなく、工場の職人がその時の気温や湿度によって変わる麺の状態を感じ取って作業しています。
今もなお、お客様と一緒に最高の一杯を目指すべく進化し続けています。

麺の魅力を高める、プロが考えたひと工夫

家庭でラーメンを楽しむときに、麺の美味しさを最大限に引き出すためのちょっとしたポイント、「ラーメンを美味しく楽しむコツ」を西山社長に教えていただきました。

①麺を茹でるときは「たっぷりのお湯」を用意する

一番簡単で重要なポイントは「お湯の量」。茹でる際に鍋が小さいと、麺を投入することでお湯の温度が一気に下がり、うまく茹で上りません。芯が茹で上がる前に表面が湯溶けしてしまいます。できるだけ大きい鍋で、たっぷりのお湯で茹でてください。さらに、チルド商品は冷蔵庫から出した直後ではなく、麺を常温に戻してから茹でるのが理想です。

②意外な具材を活用して楽しむ

家庭でラーメンを作る際、いつもと違う具材選びをすることでも、さらにラーメンの楽しみが広がります。
例えばアスパラやスモークサーモン、レタスなども面白いアクセントを加えてくれる食材です。味噌ラーメンなら特にユニークなのが「パルメザンチーズ」。乳製品のまろやかさと味噌の風味が絶妙に絡み合い、新たな味覚を体験することができます。具材に旬の食材を取り入れることで、食卓を華やかに彩ることもできるでしょう。

“食べる”から“味わう”へ

「よくかみしめて“麺”の風味を味わってほしいんです」と話す西山社長。その言葉には、札幌ラーメンへの深い愛情と自信がにじみ出ます。さらに続けて、「それぞれのラーメンには特徴や歴史があります。それを少し知ることで、麺の美味しさが2倍にも3倍にも広がると思います」と教えてくれました。
職人さんたちが積み重ねてきた工夫と努力に思いを馳せることで、ラーメンを食べる楽しみはぐっと深まります。次にラーメンを味わう際には、その背景にある歴史と情熱を感じ取ってみてください。一口ごとに豊かな物語が広がるはずです。