香典返しに添えられた「のし紙」を見たことはあっても、「表書きはどうなっていたっけ?」「水引は?」と、すぐには思い出せない人もいることでしょう。この機会に、主な例をいくつか見ておきましょう。
香典返しの「のし紙」と「表書き」で広く使われているのが、「黒白結び切りの水引」と、上段に「志」、下段に「施主の姓(フルネームのことも)」といったもの。「結び切りの水引」には「簡単にほどけない=不祝儀が繰り返されないように」という意味合いが込められています。同様の意味で、あわじ結びの水引が用いられることもあります。
これらの組み合わせは仏教、神道、キリスト教を問わず使うことができます。ただし、のし紙に「蓮の絵」が入ったものは仏教の色が強く、神道やキリスト教には馴染みません。仏式のみで使うものと思っておきましょう。
仏式であっても、西日本では「黄白結び切りの水引」と、上段に「満中陰志」、下段に「施主の姓(名)」という組み合わせを使うことがあります。
黄白の水引の由来は京都。かつて、皇室や公家で慶事に使われていた白紅の水引は、紅で染めても濃縁に見え、黒白と見間違いやすかったようです。そこで、京都に近い関西や北陸地方では、黒白を避け、次に尊いとされる黄と白の水引が使われるように。
また、四十九日法要には「満中陰法要」という別名が。仏教では亡くなってから49日を「中陰」と呼び、死者が六道輪廻をさまよう期間としています。それを過ぎると中陰を満たして(満中陰)、仏になるというわけです。
神式やキリスト教式では、本来「香典返し」にあたる習慣はありません。ただ最近では、故人を弔ってくれた方へのお礼の意味を込めて、節目に贈り物をすることが増えています。この場合、「黄白結び切りの水引」と、上段に「偲草(偲び草)」、下段に「施主の姓(名)」という組み合わせが多いようです。