最近では「香典返しは、お通夜や葬儀の帰りにもらうもの」という認識が一般的になっていますが、元々は違うかたちだったことをご存じでしょうか? 香典返しの「当日返し」と「後返し」、どんな違いがあるのでしょうか。
香典返しは本来、四十九日法要までにいただいた香典に対してお贈りするもの。「四十九日までの法要を無事に終えた」という報告の意味合いもありますので、四十九日後が一般的でした。
ひと昔前だと、お通夜や葬儀に参列する人は近所に住んでいることが多く、四十九日の法要にも参列するケースが一般的でした。現在は、親族であっても離れた場所に住んでいるケースが増え、お通夜や葬儀に出席しても、四十九日法要には参列しないことも多くなりました。そこで、葬儀当日に香典返しを用意する当日返し(即返し)が徐々に定着してきたのです。
後返しの場合、香典をいただいた方のリストを作って香典の額を把握し、それに合わせて何種類かの香典返しを用意し、四十九日法要に出席されない方には配送の手配をして……と、いくつもの作業が発生します。
当日返しの場合は、おおよその出席者数に合わせて同じ品を用意しておき、お通夜や葬儀の場でお渡ししますので、手順がぐっとシンプルになり、手間が軽減されます。
当日返しでは、いただく額がわかってから用意するわけでは無いので、香典返しを贈り分けるといったことはできません。高額な香典をいただいた方には、後日あらためて追加を用意するといった手間が発生することも。
また、全員に同じ品を用意しますので、無難な品を用意する必要が出てきます。
いただいた額を把握してから、それに合わせて選ぶことができるのが、後返し。個人にゆかりのある品を選ぶなどの心遣いをする時間の余裕も出てきます。なにより昔ながらの贈り方ですので、よりきちんとした印象になることも確かです。
葬儀の前後、遺族はとにかくやらなければならないことが多く、慌ただしいものです。そんななかに後返しの手配が加わると、他のことに手が回らなかったり、遺族が大変な思いをしたりすることがあるかもしれません。参列者の数や、家族の様子を見て、慎重に選びたいところです。